社内研修の理解度テストは、生成AIで問題案を作り、正解を社内資料で確かめてから配布する方法で始められます。
最初は一つの手順書から3問程度に絞れば、設問と解説を担当者が見直しやすくなります。
ここで扱うのは、社員が手順を覚え直すための学習用テストです。
採用や人事評価、資格認定の合否を生成AIだけで決める方法ではありません。
具体的な操作、適用条件、例外、注意事項は各見出しも確認してください。
先に決めるのは、問題数よりも覚えてほしい行動
「研修資料から10問作って」だけでは、用語を覚える問題に偏ったり、資料にないルールが混ざったりすることがあります。
担当者が先に「どんな場面で、何を判断してほしいか」を決めておきます。
例えば共用備品の貸出研修なら、「返却が遅れそうなとき、誰にいつ相談するか」を確かめる問題が考えられます。
規程の条文を暗記するより、業務中の判断を練習したい場面です。
ただし、現場作業ができるかは別に確認が必要で、選択式テストの正答だけでは実務能力を証明できません。
SHIFTは知識確認テストの作成に生成AIを使い、最終的には人が調整する取り組みを公開しています。
神戸デジタル・ラボも、社内情報から設問と解説を作り、kintoneで回答する仕組みを紹介しています。
この記事では、そのようなシステム連携の前に試せる、小さな作問と確認の例を示します。
SHIFTの一次事例、神戸デジタル・ラボの一次事例
架空の手順書を、根拠がわかる形で用意する
以下は架空の会社の練習用ルールです。
実在企業の規程でも、そのまま採用すべき一般ルールでもありません。
| 根拠番号 | 共用備品の貸出ルールの例 |
|---|---|
| A01 | 貸出前に、備品番号と返却予定日を管理台帳へ記入する |
| A02 | 返却予定日に間に合わないとわかったら、期限前に備品管理担当へ延長を相談する |
| A03 | 不具合に気づいたら使用を止め、備品管理担当へ報告する |
実際に使う場合は、社内で承認された最新版から対象範囲を選び、資料名と改訂日も控えます。
未決定の手順を生成AIに補わせると、存在しないルールを社員へ教えることになりかねません。
外部サービスへの入力が許可されていない資料は送らず、公開可能な練習用の文面で試してください。
IPAは初心者や管理者に向けた資料で、クラウドAIへ営業秘密を入力しないことを案内しています。
IPAのAIセキュリティ資料
問題と解説に根拠番号を付けるプロンプト
次の指示文に、入力してよい資料だけを続けて貼り付けます。
根拠番号を出させても、その番号が正しいとは限りません。
担当者が原資料を開き直すための手がかりとして使います。
目的:新しく備品を借りる社員の学習用テストを作る。
対象:下に示すルールだけ。一般常識や別の社内規程で補わない。
作成条件:
・ルールA01、A02、A03から各1問、合計3問。
・実際の行動を選ぶ4択問題にする。
・正解が一つに決まる状況と時点を書く。
・正解、解説、根拠番号、参照した原文を分けて出力する。
・資料に根拠がない問題は作らず「作問保留」と記す。
・個人名、評価、採点結果は扱わない。
出力:問題番号/問題文/選択肢/正解/解説/根拠番号/原文
資料:ここに入力許可済みのルールを入れる。
このプロンプトは会社でAIが作成した例です。
実際の生成結果や精度を保証するものではありません。
配布できる設問と、直したい設問の違い
作問案を評価するときは、答えが自然に見えるかより、根拠に戻って説明できるかを見ます。
次は、先ほどの架空ルールから担当者が整えた設問の例です。
返却予定日の前日に、返却が2日遅れるとわかりました。
ルールA02に従う行動はどれですか。A:期限前に備品管理担当へ延長を相談する。
B:管理台帳の予定日だけを自分で変更する。
C:期限を過ぎてから同僚へ伝える。
D:連絡せず、返せる日に返す。正解:A。
根拠はA02。
「期限前」「備品管理担当」「延長を相談する」の三つが対応しています。
一方、「困ったときはどうしますか」という問題では、何に困り、いつ気づいたのかがわかりません。
複数の行動が正しくなり得るため、状況を補うか設問を取り下げます。
資料にない「延長は最大3日」という条件が出た場合も、もっともらしくても削除します。
図は左右にスクロールできます。
正解が一つでも原資料と照合してから配布する。
人事評価の自動判定には使わない。
配布前は、正解と誤答の両方を点検する
| 確認すること | 差し戻す例 |
|---|---|
| 正解の根拠が現在の資料にあるか | 旧版の期限を使っている |
| 他の選択肢も正解にならないか | 相談先が複数あり、どちらも規程に合う |
| 誤答の解説が間違っていないか | 規程にない禁止事項を理由にしている |
| 読む力だけを試す引っかけになっていないか | 二重否定や不要な例外が重なる |
| 問題文と解説の版がそろっているか | 修正した問題に古い解説が付く |
可能なら、作問者以外の担当者にも一度解いてもらいます。
意見が分かれた問題は、正答率を見る前に、問題文とルールの両方を確認してください。
結果は、社員を順位づけるより手順の説明を直すために使う
間違いが多かった設問は、ルールが伝わっていないのか、問題文が曖昧なのかを分けて見ます。
例えばA02だけ誤答が多ければ、延長の相談先がわかる案内を研修へ追加し、別の状況で確かめ直す方法があります。
社員名と回答を扱う場合は、閲覧者と保存期間を社内で決めます。
個人別の答案をそのまま外部の生成AIへ送って分析させるところまで、作問の許可を広げないでください。
実施の記録には、資料の改訂日、設問の版、確認者、修正した問題を残します。
手順書が変わったら、マニュアルの更新管理と一緒に、該当する設問と解説も見直しましょう。
まずは入力してよい手順書を一つ選び、正解の根拠が説明できる問題を3問作る。
配布前に人が確かめるところまでを、一つの作業として予定に入れてください。
研修自体を小さく始めたい場合は、30分の社内勉強会の進め方も参考になります。
参考資料
- SHIFT Group 技術ブログ:生成AIを活用した「知識確認テスト」作成の取り組み
- 神戸デジタル・ラボ:kintoneとAIを使った社員研修の理解度テスト
- IPA:AI利用者のためのセキュリティ豆知識
確認日:2026年10月25日。
掲載事例の成果を、自社でも得られる効果として扱っていません。