「お問い合わせ」と「お問合せ」が、会社サイトと営業資料で混在している。
AIに文章を作ってもらうたびに、社長が同じ修正をしていませんか。
最初から立派な文章マニュアルを作る必要はありません。
よく直す10語を選び、正式表記、適用範囲、例外、更新担当者を一つの表にまとめます。
それを原稿作成時と確認時の両方で使うのが、この記事で提案する方法です。
ここでいう辞書は、入力を便利にする変換辞書ではなく、会社の表記を揃える確認表です。
表記を揃えても、文章中の事実まで正しくなるわけではありません。
具体的な操作、適用条件、例外、注意事項は各見出しも確認してください。
最初の10語は、直近の原稿から選ぶ
まず、公開済みの会社紹介や商品案内を3本程度見返します。
担当者が違うと揺れる言葉、毎回修正している名称、読者が間違えやすい表記を拾ってください。
辞書の言葉を増やすことより、繰り返し起きる修正を減らすことを優先します。
対象を選ぶ順番は、商品・サービスの正式名称、顧客への案内で使う言葉、数字や記号のルールです。
商品名は担当部署の資料、社名は会社の正式表記など、決定の根拠も残します。
AIに「一般的だからこちらが正しい」と決めさせないでください。
そのまま使える、表記ルール表のひな形
以下は架空の会社の記入例です。
どの会社にも適用すべき正解ではなく、自社で決める項目の見本として使ってください。
| 対象 | 自社で使う表記 | 確認する表記・状況 | 例外・適用範囲 |
|---|---|---|---|
| 問い合わせ | お問い合わせ | お問合せ、問合せ | 自社の一般案内に適用 |
| 顧客の呼び方 | お客様 | お客さま、顧客様 | 引用文は変更しない |
| 商品名 | 定期点検サポート | 点検パック、点検サービス | 正式商品名として使う場合 |
| 受付の表現 | 受け付けます | 受付けます、受けつけます | 名詞の「受付」は別扱い |
| ウェブの表現 | Webサイト | WEBサイト、ウェブサイト | 他社の固有名称は保持 |
| メールの表現 | メール | 電子メール、Eメール | 必要な区別がある技術文書は除外 |
| 数量 | 半角数字+単位 | 全角数字が混在 | 原資料の数量は変えない |
| 日付 | 2026年10月20日 | 10/20など年がない日付 | 年・月・日は根拠資料と照合 |
| 社名 | 正式な法人名 | 省略名、旧社名 | 見出しでの略記は別途承認 |
| 単位 | mm、kgなど指定単位 | 単位の混在 | 数値換算は別作業として確認 |
この表とは別に、先頭に「版番号・更新日・承認者」を記載します。
複数の部署で使うなら「営業向け案内文のみ」など適用範囲も明示してください。
採用原稿と技術資料で、同じ表記ルールが適切とは限りません。
「置換する言葉」と「人に確認する言葉」を分ける
辞書を作ると、一括置換したくなります。
しかし、同じ文字列でも意味や出所が違うことがあります。
架空の設備会社で「点検サービス」を正式名称へ揃えるとします。
自社の商品を説明する箇所なら修正候補ですが、他社のサービス名、顧客の発言、契約書からの引用は勝手に直せません。
表には「自動で直す」だけでなく、「候補を表示して人が判断する」を用意してください。
固有名詞、数値、引用、単位換算は、原則として確認を挟みます。
迷うたびに辞書が増えるなら、禁止語を増やす前に適用範囲を見直しましょう。
AIに渡すのは、今回の原稿に必要なルールだけ
ルールを長く貼るほど、原稿を読みにくくすることもあります。
用途に関係するものに絞り、変えてはいけない内容も指定します。
下の原稿欄には、社内で入力が許可された文章だけを入れてください。
次の原稿の表記だけを確認してください。 新しい情報や約束は追加せず、数値・日付・条件・引用文は変更しません。 今回の表記ルール: ・一般案内の「お問合せ」は「お問い合わせ」に揃える ・自社商品名は「定期点検サポート」 ・他社の名称と引用文は修正しない 出力:該当箇所/修正候補/理由/人の確認が必要か。 原稿全体は書き直さず、候補だけを示してください。 判断できないものは未確認と書いてください。 原稿:[入力を許可された原稿]
候補を受け取ったら、AIの出力とルール表を照合します。
ルールにない表記をAIが直した場合は、今回採用するかと、社内ルールに追加するかを別々に判断してください。
提案をそのまま新ルールにすると、担当者が知らないうちに基準が変わります。
辞書は、1人が責任を持ち、月に一度見直す
小さな会社では、最初は広報や総務の担当者1人を更新窓口にすると管理しやすくなります。
商品名や取引条件の決定まで窓口に任せるのではなく、該当部署の確認を受けて反映します。
| 変更記録 | 記入する内容 |
|---|---|
| 何を変えたか | 対象語・旧表記・新表記 |
| なぜ変えたか | 商品名変更、読者の誤解、部署の承認など |
| いつから使うか | 適用日と対象原稿 |
| 誰が承認したか | 担当部署・承認者 |
| 既存原稿への対応 | 新規のみ/重要ページだけ更新など |
月に一度という頻度は編集部の提案です。
原稿が少なければ、商品改定や担当者交代の時期に合わせても構いません。
旧版を残し、原稿に使った版が分かるようにすると、後から修正理由を追えます。
共有が必要になってから、ツールを選ぶ
1人で少量の原稿を書く段階なら、共有表と確認手順から始められます。
複数人が同じルールを使う、見落としが繰り返される、といった問題が出たら、共有辞書のある校正ツールを比較しましょう。
文賢の料金と会社導入の注意点では、共有辞書とプラン、AIアシストのデータ取り扱いを整理しています。
表記が揃った後の意味の確認には、案内文をAIで校正する手順も使えます。
今日の作業は、よく直す言葉を10個書き出すところまでで十分です。
正式表記を決められない言葉は、空欄のまま担当部署に確認してください。
未確認のまま揃えるより、迷う箇所を残す方が安全です。
参考:文賢のプラン別辞書・共有機能。
この記事の表と運用手順は編集部の提案で、文賢の操作画面を再現したものではありません。