「来週、出荷予定です」を、AIが「来週、お届けします」に直した。
読みやすくなったとしても、この修正は採用できません。
会社が約束する範囲が変わるからです。
お客様への案内文をAIで校正するなら、先に変更してはいけない情報を固定し、修正箇所を一覧で出してもらいます。
最後に元原稿と比べて、担当者が採用を決めてください。
全文を自然に書き直してもらうだけでは、条件の変化が見えにくくなります。
この記事は、すでにある原稿の校正・推敲を扱います。
ゼロからメールを作る方法とは分けて考えましょう。
以下の会社・数値・文面はすべて架空の例で、特定のAIツールの実測結果ではありません。
校正と推敲を分けると、修正範囲が決まる
この記事では、誤字や表記を直す作業を「校正」、読みやすい順序や言い回しを検討する作業を「推敲」として説明します。
実務で両方を行うとしても、AIへの指示は分けた方が変更理由を確認しやすくなります。
| 作業 | 修正の例 | 別に確認すること |
|---|---|---|
| 校正 | 誤字、送り仮名、社内で決めた表記 | 正式名称や例外に合うか |
| 推敲 | 一文を分ける、説明の順序を変える | 意味や約束が変わっていないか |
| 事実確認 | 納期、数量、金額、適用条件の照合 | 正しい社内資料はどれか |
AIが自信を持って示した表現でも、受注台帳や契約内容を見ているとは限りません。
文章の修正だけで事実確認を終えないことが、最初のルールです。
入力前に、変えてはいけない情報を別枠にする
案内文から、日付、数量、金額、対象、確定していること、まだ予定のことを抜き出します。
この表を原稿とは別に用意すると、校正後の確認に使えます。
機密情報を入力してよいかは、社内方針と利用するサービスの条件に従ってください。
入力が許可されていない取引先名、住所、契約条件を、校正のためだからと送信してはいけません。
伏せ字にしても契約内容が推測できる場合は、架空の原稿に置き換えるか、AIを使わない方法を選びます。
例1:出荷予定と到着予定を取り違えない
架空の原稿:
「ご注文の部品20個は10月20日に出荷予定です。到着日は配送会社の状況により変動しますので、出荷後にご案内します。」
固定する情報は「20個」「10月20日」「出荷予定」「到着日は未確定」の4点です。
文を整えるなら、たとえば次のように分けられます。
「ご注文の部品20個は、10月20日に出荷する予定です。到着日は配送状況により変動するため、出荷後にご案内します。」
一方、「10月20日にお届けします」「必ず間に合います」という表現は追加しません。
人が確認するのは、日付の文字だけでなく、日付に結び付く行為と確定度です。
例2:注文数量と最小注文数を混ぜない
架空の原稿:
「今回は30枚でのお見積りです。通常は50枚からお受けしていますが、試作のため今回のみ30枚で承ります。」
固定する情報は、今回の数量30枚、通常の最小注文数50枚、例外は今回の試作のみ、です。
整理例は次のとおりです。
「今回の試作は、30枚で承ります。通常の最小注文数は50枚ですが、今回は例外として30枚でお見積りしています。」
「今後も30枚から注文できます」とは書きません。
AIが重複を減らすために例外の説明を削ると、継続条件まで変わって見えることがあります。
数量と、数量が適用される範囲をセットで確認しましょう。
例3:無償対応の条件を消さない
架空の原稿:
「初回納品から7日以内にご連絡いただいた場合は、当社の作業に起因する不備を無償で修正します。追加仕様は別途見積りとなります。」
この文は、期限、原因、対応範囲を分けて読む必要があります。
整理例は次のとおりです。
「当社の作業に起因する不備は、初回納品から7日以内にご連絡いただいた場合、無償で修正します。追加仕様については、別途お見積りします。」
「7日以内なら何度でも無料」「ご満足いただくまで対応」といった表現は元原稿にありません。
契約に関わる文面は、担当者が承認済みの条件と照合し、判断が難しい場合は専門家に確認してください。
修正の差分を出すプロンプト
一度に「完璧な文章」にしてもらわず、候補を見てから採用します。
次の例では、条件の変更を禁止し、修正の理由を示すよう指示します。
お客様向けの案内文を校正してください。 新しい約束、日付、金額、数量、条件は追加しません。 変更不可: [確定した情報、予定の情報、例外の範囲を列挙] 最初に誤字・表記の候補を一覧で示してください。 次に、読みやすさのための言い換え候補を別の一覧にしてください。 各行は「元の箇所/修正案/理由/条件への影響」の形式にします。 判断できない情報は推測せず、「担当者への確認事項」に残してください。 全文の完成稿は、この時点では作成しません。 原稿:[社内で入力が許可された文章]
「変更不可」と書いても、AIが必ず守る保証はありません。
指示は確認しやすい出力を得るためのもので、人の照合を省くためのものではありません。
送信前は、5つの観点で原稿と照合する
人が元原稿と社内資料に照合し、不一致や未確認があれば修正・保留します。
一致した場合も、宛先・添付などを確認して承認者が送信を判断します。
| 確認点 | 見落としやすい変化 |
|---|---|
| 数字と単位 | 30枚が50枚、円が税込総額へ変わる |
| 日付と行為 | 出荷日が到着日へ変わる |
| 確定度 | 予定が確約、検討が決定へ変わる |
| 適用範囲 | 今回のみが継続条件へ変わる |
| 未確認事項 | 未定の項目をAIが埋めてしまう |
宛先、添付ファイル、送信権限も別途確認します。
原稿、修正候補、採用した完成稿を残すと、どこで条件が変わったのか追いやすくなります。
短い案内文なら、並べて一文ずつ読んでください。
同じ修正が続くなら、表記辞書を作る
毎回同じ言葉を直している場合は、社内の表記ルール辞書の作り方から基準を整えます。
複数人でチェックする仕組みが必要なら、文賢の料金と導入前の注意点も確認してください。
AIは案内文の修正候補を出す役割です。
お客様に何を約束するかを決めるのは、会社の担当者です。
参考:文賢公式サイトの校正・推敲機能。
この記事の分類・原稿例・プロンプトは編集部の提案です。