営業ヒアリングシートをAIで作るなら、初回商談で確かめたい目的を一つ決め、質問を8つ程度に絞り、未回答欄を残すところから始めましょう。
質問を増やすことより、答えを提案のどこに使うかを決める方が重要です。
「聞きたいことが多く、商談がアンケートの読み上げになってしまう」「商談後に重要な条件を聞き忘れたと気づく」。
そんな小規模企業の営業担当に向け、質問の順番、誘導質問の修正、回答の引継ぎまで紹介します。
以下は、架空の備品管理サービスの初回相談を使った編集例です。
実在の顧客へのヒアリングや導入成果ではありません。
具体的な操作、適用条件、例外、注意事項は各見出しも確認してください。
初回商談では「今の困りごと」を確かめる8問から
想定する相談は、「工具や備品を誰が持ち出したか分からず、探す時間が増えている」というものです。
いきなり自社サービスの機能説明へ進まず、現在の作業と改善したい状態を確かめます。
| 順番 | 質問例 | 回答を使う目的 |
|---|---|---|
| 1 | 現在、備品の貸出と返却をどう記録していますか? | 今の手順を理解する |
| 2 | 所在が分からなくなるのは、どんな場面ですか? | 問題が起きる条件を絞る |
| 3 | そのとき、誰がどんな確認をしていますか? | 対応する人と作業を把握する |
| 4 | まず改善したい備品や拠点はどこですか? | 初期の対象範囲を決める |
| 5 | 現場で使える端末や、使いにくい場面はありますか? | 運用上の制約を知る |
| 6 | 今の運用で残したい部分はありますか? | 変更しない条件を知る |
| 7 | 導入を検討するとき、どなたの確認が必要ですか? | 次の相談相手を把握する |
| 8 | 次回までに何が分かれば検討を進められますか? | 次の資料と確認事項を決める |
8問はすべての業種に共通する正解ではありません。
相談時間や相手の立場によって減らして構いません。
答えがすでに分かっている質問は、最初に確認するだけで済ませましょう。
ヒアリングにAIを使う流れは、カンマンの解説にもあります。
この記事では、質問を作るだけでなく、答えがない場合の扱いまで決めます。
AIに渡す前に「目的・分かっていること・制約」を整理する
「営業用の質問を作って」と頼むだけでは、価格、予算、決裁、課題などの一般的な質問が大量に出てきがちです。
自社の商談で必要な範囲を先に指定します。
架空の相談では、次の情報を用意します。
- 目的:備品の貸出記録を改善する必要があるか、次回の検討材料を確認する
- 分かっていること:現状は紙に記入、相談者は現場リーダー
- 分かっていないこと:対象拠点、端末、承認者、改善の優先度
- 制約:初回は20分。見積や導入日を確約しない
個人名や取引先の内部情報は、会社の入力ルールに合わせて伏せてください。
公開情報と顧客の発言を混ぜず、「事前に確認済み」「商談で未確認」を分けます。
コピー用プロンプトで質問と優先度を出す
Googleのプロンプト設計資料は、明確な指示に加え、文脈、制約、出力形式を指定する考え方を示しています。
商談用の指示文も、この3点を具体化すると見直しやすくなります。
初回商談用の営業ヒアリングシートを作ってください。 商談の目的は、困りごとと運用条件を確認し、次回の検討材料を決めることです。 条件: ・質問は最大8つ。現在の作業→困りごと→対象範囲→制約→次の行動の順 ・一つの質問で聞くことは一つにする ・当社製品の導入を前提にしない ・相手の回答、予算、決裁権、導入日を創作しない ・優先度を「必須」「時間があれば」に分ける ・回答欄は空欄にし、分からない場合の追加質問を付ける 出力:順番/質問/質問の目的/優先度/回答欄/追加質問 【相談の背景】 工具や備品の所在が分からなくなることがある。 現在は紙で貸出を記録。相談者は現場リーダー。 対象拠点、利用端末、承認者は未確認。 【制約】 初回20分。価格と導入日は確約しない。
AIの出力は、作成担当者が声に出して読んでください。
「所在」「運用負荷」など、自社では普通でも相手には分かりにくい言葉があれば、日常の言葉へ直します。
誘導質問と、一度に聞きすぎる質問を直す
質問表が完成しても、そのまま使わず、相手が答えやすい形へ整えます。
特に、製品の良さを認めさせる質問になっていないかを確認しましょう。
修正例1:解決策を先に押し付けない
修正前:「QRコード管理を導入すれば便利になると思いますか?」
修正後:「貸出の記録で、今いちばん手間がかかっているのはどの作業ですか?」
前の質問は、自社が提案したい解決策へ話を寄せています。
まず作業を聞き、QRコードが合うかは端末や現場環境を確認してから判断します。
修正例2:費用・時期・承認を一度に聞かない
修正前:「予算はいくらで、いつ導入し、誰が決裁しますか?」
修正後:「検討を進めるうえで、先に確認しておきたい条件はありますか?」
相手が予算や時期を把握していなければ、その場で答えを迫らないでください。
必要な項目は、どの担当者にいつ確認するかへ置き換えます。
修正例3:効果の数字を相手に推測させない
修正前:「導入すれば毎月どのくらいの時間を削減できそうですか?」
修正後:「最近、備品を探す必要があった場面を一つ教えてください。」
削減時間を先に聞くと、根拠の薄い数字が提案書へ入りやすくなります。
具体的な作業を聞き、必要なら後日、件数や時間を記録して評価します。
回答欄は「事実・解釈・未確認」を分ける
商談後、AIに読みやすく整理してもらう場合も、未回答を埋めさせないでください。
次は架空の回答メモの記入例です。
| 項目 | 確認できた発言 | 担当者の解釈/次の確認 |
|---|---|---|
| 今の記録 | 「貸出時に紙へ記入している」 | 事実。返却時の記入方法は未確認 |
| 端末 | 「個人のスマホを持ち込めない区域がある」 | 区域と会社端末の有無を次回確認 |
| 対象 | 「まず一つの倉庫で考えたい」 | 対象備品の一覧は未受領 |
| 時期 | 「まだ決まっていない」 | 導入月は未確定。勝手に提案へ追加しない |
「スマホを持ち込めない」から「QRコードは使えない」と断定するのは飛躍です。
会社端末や他の方法の有無は、追加の確認事項として残します。
以下の商談メモを整理してください。 列は「本人の発言」「確認済み事項」「担当者の解釈」「未確認」「次の確認先」。 未回答は「未確認」のままにしてください。 発言にない予算・決裁権・導入日・合意を追加しないでください。 事実と解釈が混ざっている場合は分け、元のメモの位置も示してください。
整理結果は原メモへ戻って確認します。
AIが「導入を希望」とまとめても、実際の発言が「説明を聞きたい」だけなら、検討段階のまま記録します。
次回の提案へつなぐときも、未確認を消さない
ヒアリングシートは、完成した提案を作るためだけのものではありません。
次回までに「何を確かめる必要があるか」を共有する資料にもなります。
架空の相談なら、「対象備品の一覧を依頼」「会社端末の有無を確認」「入力方法を2案比較」のように、確認先と次の資料を決めます。
顧客が引き受けていない宿題を、合意済みとして書いてはいけません。
提案書へつなぐ方法は、商談メモから営業提案書を作る手順へ。
質問の話し方を練習したい場合は、AIで営業ロープレをする方法も参考になります。
まず次の商談1件で、必須の質問を3つ選ぶ
シートは毎回すべて読み上げる台本ではありません。
今回の商談で最も重要な質問を3つ決め、残りは会話に合わせて使いましょう。
AIには質問案と整理を任せ、人は質問の順番、相手への配慮、回答の意味を確認します。
答えのない欄を残せるシートの方が、無理に埋めたシートより次の仕事へつなげやすくなります。
参考資料
資料確認日:2026年10月12日。
質問表・修正例・記入例は独自の架空例で、成約率や導入効果を検証したものではありません。